おさらい・登場するキューブの紹介
1年ほど前の記事『3x3x3キューブ 改良の歴史』では、キューブの構造の進化についてご紹介しました。
それぞれのキューブを大雑把に、フラットセンター世代、アーチセンター世代、Tパーツ世代(ZhanChi世代)と分類してみると、最近のキューブはやはりZhanChi世代でしょうか。
数年後もそのように言われているか、あるいは「そういえば356からは別の世代だね」などと言われているかもしれません。
今年は、動作面にパーティングラインが全く無いGans 356が登場し、MoYuはそれを真似た(やや妥協した)TangLong、AoLong GTを発表しました。
これらはきっと、名機ShuangRenと共に「ステッカーレス非対応構造」としてカテゴライズされると信じていました。
YueXiaoが登場するまでは。
ステッカーレス非対応構造は、キューブの剛性を上げることと、回転をより滑らかにするための手段でしかなく、これは、パーツの固定方法や成型技術の向上によって解決することができる、ということをYueXiaoが証明しました。
ただ、MoYuの最上位機種となったWeiLong GTSはステッカーレス非対応なので、現状ではステッカーレス非対応の方がより理想に近い、と言えそうです。このあたり今後の展開が非常に気になります。
安定感と柔軟性のトレードオフ関係
最近の競技用キューブの性能を見てみると、もっとも順調に進歩しているのは耐久性です。
特にMoYuのモデルはわかりやすく、TangLong (7.2)、AoLong GT (7.5)、YueXiao (7.7)、WeiLong GTS (7.8)と、どんどん耐久性が向上しています。
この中に1人仲間はずれが居るな。
AoLong GTは、安定感と柔軟性が両方共イマイチで、その結果平凡な総合評価を受け、triboxストアでも販売数が伸び悩んでいます。
では他のモデルはどうなのかとグラフを見てみると、安定感と柔軟性の間にトレードオフ関係が見えてきます。
グラフが示す通りですね。文章での説明は省きましょう。
ちなみにこの3機種に限ると、柔軟性が高いほど総合評価が高くなっています。もちろんレビュアーも安定感の低さを感じることはできますが、それをテクニックで補うことができるため、総合評価には響きにくいのだと推測できます。
この他にQiYi Tornadoも安定感と柔軟性の合計が13点を超えていますが、GTSのグラフにすっぽり入ってしまうため「GTSはTornadoの上位互換」などと言われることがあります。
ここで話が変わりますが、「上位互換」というのは数字を比べて言われることばかりではありません。
砕けた言い方をすると、キャラかぶりしている場合によく使われる言葉ではないでしょうか。
triboxレビューの改善点
キューブのキャラと言えば、回し心地でしょう。現状のtriboxレビューでは、このあたりを表現しきれていません。
現状採用しているパラメータ「回転の感触」が同じであっても、「サラサラ」、「ツルツル」というように印象が大きく異る場合があります。
この回し心地は何によって決定されるのかと2秒ほど考えた結果、パーツ表面の仕上げについての情報が足りないことがわかりました。
・回転の軽さ (そのまま)
・パーツ表面の仕上げ (音、ミクロ的な感触)
・安定感 (ホールド感の印象)
・柔軟性 (パーツの丸みの印象)
この4つが全て同じキューブが2つあるとすれば、その利きキューブは相当難しそうです。
そこで、主要な競技用キューブのビデオを撮影して、皆さまに動作音をお届けする試みを始めました。
回し心地の数値化には時間がかかりそうなので、できるかぎりビデオを撮り、ご紹介して参ります。
キューブ選びの決め手
そもそもtriboxレビューは、2年ほど前の「キューブの種類が多すぎてどれを買えば良いか分かりません。」とのお問合せから始まりました。
2年が経過して、「キューブの性能が高すぎて選びようがない」というように若干状況が変わってきたように思えます。
そこで回し心地に注目しました。
実際にキューブを手にとって回してみて、もしもTangLongよりZhanChiが好きだと思ったなら、ZhanChiを選ぶのが精神衛生上最も良い選択となるでしょう。
それくらい回し心地というのは重要です。念のため言っておくと、今ZhanChiを買うのは明らかな間違いです。
つまり何が言いたいのか。定例会に行こう。ということです。
大抵のキューブが揃いますから、試し放題、triboxレビューが提供しきれない次元の情報を得ることができます。
5月29日の関東支部定例会2016春はまだ詳細未定のようですが、大村さん担当なら安心。早めに参加表明しておきましょう!
※JRCA(日本ルービックキューブ協会)に無料会員登録、ログインして、参加する旨を対象の掲示板に書き込むことを「参加表明」と言います。
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